鈍色に輝く長い嘴。闇色に染め上げられた大きな翼。月夜に浮かぶその姿はまるで、漆黒の羽を広げる巨大な鴉だった──。
鼻の先が尖った仮面と黒い高襟の大きな外套に身を包んだヴァロフェスは、人に仇なす〈叫ぶ者〉を殲滅せんと、闇から闇を渡り歩く孤独な旅を続けていた。だが、それは正義のためでも人助けのためでもない。彼を突き動かしているのは復讐の炎だった。母と祖国と、唯一心を許した少女を奪った、裏切りの魔術師・マクバ。そこにたどり着く唯一の手がかりが、奴に魂を売って人外となった〈叫ぶ者〉たちなのだ。そんな終わりなき死闘を続けるヴァロフェスの前に、旅芸人として各地を回っている少女リリスが現れる。陽光に映える赤毛と澄んだまっすぐな瞳。彼女には、かつて彼が愛したあの少女の面影があった。まるで導かれるように交差した二人の運命。その出会いには果たしてどんな意味があるのか?
飛び散る血肉! 迫りくる怪異! 傑作ダーク・ファンタジーが、単行本未収録短編を収録した電子限定版で登場! |